バンドとして成功するのは難しい?

ミュージシャンとして生計を立てることは、これまでにない程難しくなっています。私はロックスターがお金持ちになる日が来ることを願っているわけでも、今の若者は間違っていると主張したいわけでもありません。また、芸術への投資が無くて苦しいと訴えているわけでもありません。単に事実を言っているだけです。

1.お金をかけず、簡単にできるようになったレコーディング

コンピューターとちょっとした機材があれば、寝室でもプロ並みのアルバムを作ることができます。もちろん、こうした機材を使いこなすのは別の問題として、そのために時間と労力を惜しまない人がたくさんいることは、この10年ではっきりしました。費用がかかるレコーディングスタジオを利用しなくても高品質なアルバム作りが出来るようになったため、より多くの人が自分の作品を世に送り出すことができるようになったのです。

2.激化する競争

マーケットは今、過剰気味です。似たようなことをする同じレベルのアーティストがたくさんいる中で、どうやって業界に自分を認めてもらったり、その存在に気づいてもらえるほど多数のフォロワーを獲得すればいいのでしょうか。

3.音楽業界の売上が減少

楽曲の売上が減少したことで、バンドの儲けが減っています。音楽配信などの副次的な収入源がまだその穴をカバーしていないため、ミュージシャンはかつてのような収入を得られなくなっています。その結果、生計を立てるために本業を持つミュージシャンが増え、最も重要なはずの音楽活動に取り組む時間が少なくなっています。その影響は彼らの音楽にも表れています。

4.才能の宝庫が減少

音楽で稼げないとなると、音楽を仕事の選択肢として考える人が減ることになります。少なくとも、音楽の道をなんとか追求したいと思っている人(結局はそれが原動力)は、生活で何かしら必要性が生じると、早々に音楽を諦めざるを得なくなるかもしれません。

最近のバンドはまるで新生児のおむつを替えるようにメンバーが頻繁に入れ替わることにお気づきでしょうか。これには理由があります。それは、自分の腕前に一生を捧げる覚悟と自信のある人が、少ないからです!

5.バンドへの資金供給が減少

簡単に言い換えると、儲けの対象が減れば、ビジネスサイドにとっても新しい才能に投資できる資金が減ります。確かに実力で成功を収めたミュージシャンのサクセスストーリーはよく聞きますが、ほとんどのバンドの場合、経済的な安定を可能にするほどの人気を得るためには、多少の助けを必要とします。

6.生計を立てるには頻繁なツアーが必要

できるだけ頻繁にツアーを行うことは、困難な条件であったとしても、音楽の道を選んだミュージシャンにとっては、非常に重要なことです。世界的に有名なアーティスト以外、生計を立てるにはそれしかありません。しかし残念なことに旅には負担がかかります。自宅や友人、家族から1年のうち9カ月も離れていると、頻繁に各地を飛び回るビジネス戦士であったとしても疲れてしまいます。特に、お金があまり入ってこない場合は疲弊しがちで、成功したバンドを含めてほとんどのバンドにとって状況は同じです。